チラシ、ポスター、名刺、パンフレットなどを印刷会社へ入稿するときは、印刷に適したデータを用意する必要があります。
画面上では問題なく見えていても、データの設定によっては、印刷した際に次のようなトラブルが起こることがあります。
- 用紙の端に白い部分が出てしまった
- 文字やロゴが切れてしまった
- 写真が粗く印刷された
- 画面で見た色と印刷物の色が大きく違った
- フォントが別の書体へ置き換わった
- 配置した画像が抜けてしまった
- 希望したサイズで印刷できなかった
この記事では、印刷用データを入稿する前に確認したい8つのポイントを、初めての方にも分かりやすく解説します。
使用するソフトや印刷会社によって入稿条件は異なるため、最終的には依頼先の入稿ガイドもあわせてご確認ください。
印刷用データとは?
印刷用データとは、印刷会社の機械や作業環境で、正しいサイズと内容で出力できるように整えたデータです。
一般的には、次のような形式が使われます。
- Adobe Illustrator形式
- Adobe InDesign形式
- Adobe Photoshop形式
- JPEG・TIFFなどの画像形式
Word、Excel、PowerPointで作成した原稿も印刷できますが、使用するパソコンやフォント環境によってレイアウトが変わることがあります。
そのため、印刷前にPDFへ変換したり、印刷用データとして調整したりする作業が必要になる場合があります。
1.仕上がりサイズを確認する
最初に確認したいのは、印刷物の仕上がりサイズです。
例えば、A4チラシを作る場合の仕上がりサイズは、一般的に次の寸法です。
| サイズ | 仕上がり寸法 |
|---|---|
| A4 | 210mm × 297mm |
| A3 | 297mm × 420mm |
| A2 | 420mm × 594mm |
| A1 | 594mm × 841mm |
| B5 | 182mm × 257mm |
| B4 | 257mm × 364mm |
データが希望サイズと異なると、印刷時に拡大・縮小が必要になります。
縦横比が異なる場合は、単純な拡大や縮小では対応できず、余白ができたり、一部が切れたりする可能性があります。
確認したい項目
- 希望する仕上がりサイズになっているか
- 縦型・横型が正しいか
- ページごとのサイズが統一されているか
- 折り加工をする場合、展開サイズが正しいか
2.塗り足しを付ける
写真や背景色を用紙の端まで印刷する場合は、仕上がりサイズの外側に「塗り足し」を付けます。
印刷物は、大きな紙へ印刷した後、仕上がりサイズに断裁します。断裁位置にはわずかなずれが生じることがあるため、仕上がり位置までしか背景がないと、端に白い線が出る可能性があります。
一般的には、仕上がり位置の外側へ上下左右3mm程度の塗り足しを付けます。
A4チラシの例
- 仕上がりサイズ:210mm × 297mm
- 塗り足しを含むサイズ:216mm × 303mm
背景色、写真、模様など、用紙の端まで見せたい要素は、塗り足し部分まで広げてください。
塗り足しが必要になるもの
- 全面に背景色があるデザイン
- 写真を用紙の端まで配置するデザイン
- 色付きの帯や図形が端まで続くデザイン
- 余白を設けない名刺やカード
四辺に白い余白を設けるデザインであれば、塗り足しが不要な場合もあります。
3.文字やロゴを仕上がり線から離す
文字、ロゴ、QRコードなど、切れてはいけない重要な要素は、仕上がり線の近くへ配置しないようにします。
断裁時のずれを考慮し、仕上がり線から3~5mm以上内側へ配置するのが一般的です。
特に注意したいもの
- 電話番号
- 住所
- 開催日時
- 価格
- 会社名・店舗名
- ロゴ
- QRコード
- 申込方法
文字を端に寄せたデザインは見た目に変化を出せますが、印刷物では切れる可能性を考慮する必要があります。
意図的に文字を切るデザインを除き、重要な情報には十分な余白を設けましょう。
4.画像の解像度を確認する
写真や画像の解像度が低いと、画面ではきれいに見えても、印刷すると粗く見えることがあります。
一般的なカラー印刷では、実際に使用するサイズで300~350dpi程度が一つの目安です。
| 画像の用途 | 解像度の目安 |
|---|---|
| カラー・グレースケール画像 | 300~350dpi程度 |
| 白黒2階調画像 | 600~1200dpi程度 |
| 大判ポスター | 見る距離により150~300dpi程度 |
大判ポスターは離れた場所から見ることが多いため、チラシや名刺ほど高い解像度が必要ない場合もあります。
ただし、小さな画像を大きく引き伸ばすと、解像度が不足します。
解像度不足になりやすい画像
- Webサイトから保存した小さな画像
- SNSへ投稿した画像を再保存したもの
- メールやメッセージアプリで圧縮された写真
- スクリーンショット
- 小さなロゴ画像を拡大したもの
写真やロゴは、できるだけ元の大きなデータをご用意ください。
5.カラーモードを確認する
パソコンやスマートフォンの画面では、一般的にRGBという方式で色を表示します。
一方、印刷では主にCMYKという方式が使われます。
- RGB:光で色を表現する方式
- CMYK:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクで色を表現する方式
RGBは明るく鮮やかな色を表現できますが、CMYKでは同じ鮮やかさを再現できない色があります。
特に、次のような色は印刷時に変化しやすい傾向があります。
- 蛍光色のような明るい色
- 鮮やかな青や緑
- 強いピンクや紫
- 光るような明るい色
印刷用データは、依頼先の指定に合わせてCMYKへ変換するのが一般的です。
ただし、使用する印刷機や出力方法によってはRGBデータを受け付ける場合もあるため、事前に確認してください。
画面と印刷物の色は完全には一致しません
モニターは光を発して表示しますが、印刷物は用紙に反射した光で色を見ます。
そのため、正しくデータを作成しても、画面表示と印刷物の色が完全に一致するわけではありません。
色を重視する場合は、事前に色校正や試し刷りを行う方法があります。
6.フォントを確認する
作成したデータで使用しているフォントが、印刷側の環境にない場合、別の書体へ置き換わったり、文字化けしたりすることがあります。
Adobe Illustratorで作成したデータでは、文字をアウトライン化して入稿する方法が一般的です。
文字のアウトライン化とは
フォント情報を図形へ変換し、使用したフォントがない環境でも同じ形で表示できるようにする処理です。
ただし、アウトライン化した文字は、通常の文字として編集できなくなります。
そのため、次の2種類を保存しておくと安心です。
- 文字を編集できる元データ
- 文字をアウトライン化した入稿用データ
PDFで入稿する場合
PDFへフォントを埋め込むことで、文字の形を保てる場合があります。
PDFの書き出し設定によって結果が変わるため、印刷会社が指定するPDF形式やプリセットを使用してください。
7.リンク画像を確認する
Adobe IllustratorやInDesignでは、写真や画像をデータ内へ直接埋め込まず、外部ファイルを参照する「リンク配置」が使われることがあります。
リンクした画像を一緒に送らないと、印刷側で画像が表示されない場合があります。
リンク切れを防ぐ方法
- 使用している画像をすべて同じフォルダへまとめる
- Illustratorのパッケージ機能を利用する
- InDesignのパッケージ機能を利用する
- 画像を埋め込む
- PDFへ書き出して入稿する
ファイル名や保存場所を変更しただけでも、リンクが切れる場合があります。
入稿前に、画像が正しく表示されているか確認してください。
8.最終的な内容を確認する
データの技術的な設定だけでなく、掲載内容の最終確認も重要です。
印刷後に間違いが見つかった場合、修正だけでなく再印刷の費用も必要になります。
入稿前に確認したい内容
- 誤字・脱字がないか
- 電話番号が正しいか
- 住所が正しいか
- 開催日・曜日・時間が正しいか
- 料金や商品名が正しいか
- URLやメールアドレスが正しいか
- QRコードが正しく読み取れるか
- 写真やロゴが最新版か
- 不要な文字やガイドが残っていないか
- ページの順番が正しいか
QRコードは実際に読み取る
QRコードは、画面上で見えているだけでは十分ではありません。
スマートフォンで実際に読み取り、正しいページが開くか確認してください。
QRコードの周囲には余白が必要です。背景模様や文字を近づけすぎると、読み取りにくくなる場合があります。
PDFで入稿するときの確認事項
印刷用PDFは、使用する印刷会社の指定に合わせて作成します。
一般的には、次の点を確認します。
- ページサイズが正しい
- 塗り足しが設定されている
- トンボが必要な場合は付いている
- フォントが埋め込まれている
- 画像の解像度が不足していない
- カラーモードが指定に合っている
- 透明効果やオーバープリントが正しく処理されている
- ページ順が正しい
PDF/X-1a、PDF/X-4など、入稿形式が指定される場合もあります。
指定が分からない場合は、自己判断で書き出す前に印刷会社へ確認するのが安全です。
Word・Excel・PowerPointで作ったデータは印刷できる?
Word、Excel、PowerPointで作成したデータも印刷できます。
ただし、パソコンの環境によって次のような変化が起こる場合があります。
- フォントが置き換わる
- 文字の位置がずれる
- 改行位置が変わる
- 表や図形がずれる
- 画像の位置や大きさが変わる
- ページ数が変わる
入稿前にPDFへ変換し、変換後のデータを確認する方法がおすすめです。
ただし、Wordなどで作成したPDFは、塗り足しやカラーモードなど、商業印刷に必要な設定が不足している場合があります。
仕上がりや用途に応じて、DTPソフトでの再調整が必要になることもあります。
印刷データ入稿前チェックリスト
入稿前の最終確認に、次のチェックリストをご活用ください。
- 仕上がりサイズは正しい
- 縦型・横型は正しい
- 背景や写真に塗り足しがある
- 文字やロゴが仕上がり線に近すぎない
- 写真や画像の解像度が不足していない
- カラーモードが入稿条件に合っている
- フォントがアウトライン化または埋め込みされている
- リンク画像がすべて揃っている
- 誤字・脱字がない
- 電話番号、住所、日時、価格が正しい
- QRコードを実際に読み取った
- 不要なオブジェクトやガイドが残っていない
- ページ順が正しい
- 印刷会社の入稿条件を確認した
データに不安がある場合は、入稿前に確認しましょう
印刷用データは、使用するソフト、印刷方法、用紙、加工内容によって必要な設定が異なります。
「画面で正しく見えているから大丈夫」と思っていても、印刷時に問題が見つかることがあります。
特に、次のような場合は、入稿前にデータ確認や調整を依頼することをおすすめします。
- 初めて印刷データを作成した
- WordやPowerPointで作成した
- 以前のデータを修正して使用したい
- 印刷会社の入稿条件が分からない
- 画像の解像度が足りているか分からない
- 塗り足しやトンボの付け方が分からない
- 大判ポスターへ拡大したい
- PDFへ変換したら表示が変わった
DTP・印刷用データの確認と調整に対応しています
yusuke-design.netでは、印刷用データの確認、修正、再作成などに対応しています。
- Word・Excel・PowerPoint原稿の整形
- 既存データの修正
- 仕上がりサイズへの調整
- 塗り足し・余白の調整
- 画像解像度の確認
- 写真・画像の補正
- 印刷用PDFの作成
- 古い印刷物の再データ化
- 入稿データの確認
完成データからの印刷だけでなく、内容整理、デザイン、DTP、印刷・加工まで一つの窓口でご相談いただけます。